2013.06.08
ゲッティンガー紙(ドイツ)に掲載されました
ゲッティンガー紙にフォルテピアノリサイタル記事が掲載されました。
〈日本語訳〉
意外なアクセントの魅力
〜ゲッティンゲン クラヴィーア・サロンに日本人ピアニスト宮﨑貴子を迎えて
音楽史において注目されることが少ない時代は、バロックの終わりからモーツァルト・ベートーヴェン以前にかけてだろう。それらの作曲家を日本人ピアニスト宮﨑貴子はクラヴィーア・サロンでプログラムに取り上げ演奏した。カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ、ヨーゼフ・ハイドン、ムツィオ・クレメンティである。
それらの作品を彼女は1795年モデルのフォルテピアノの複製楽器で演奏した。当時の作品は、音楽がもっと透明で繊細に奏でられていたに違いない、それが体感できた。現在のコンサートピアノは、もっとどっしりとくぐもった音がする。
しかしこの夕べが非常に刺激的に進行したのは、使用楽器のためだけではない。
この奏者はそれぞれのフレーズを面白く形作ることに非常に重きを置いていた。彼女は音楽を語らせ、そこには息づかいの空間が描かれ、意外なアクセントの魅力を存分に楽しみ、同時にテンポも(適切なやり方で)自由にとらえている。
C.P.E.バッハのA-durソナタが説得力ある演奏だったように、これが彼女の演奏を非常に生き生きとさせている。クレメンティのF-durカプリチオには溢れ返らんばかりのウィットがあり、ハイドンのC-durソナタでは深く聴かせた。クレメンティの美しい2つのソナタ~B-durのモーツァルト「魔笛」のテーマのソナタ(しかしこれは魔笛のほうが10年後に出版されたのだ)とg-mollのベートーヴェン風なソナタ~は聴衆に洗練された楽しみをもたらした。こじんまりとした、しかし感激した聴衆からは拍手喝采が送られた。(ミヒャエル・シェーファー)